この記事では、国内外のスクラップ市場に大きな影響を与えている米国の鉄鋼関税政策と、国内鉄スクラップ相場の最新動向をお届けします。
米国関税がもたらす構造変化とは
トランプ米政権による鉄鋼への追加関税を受け、国際的な鉄スクラップの流通構造に変化が起きています。世界最大の鉄スクラップ輸出国である米国からの供給が減少し、各国の調達ルートに影響が出始めています。
国内でも、粗鋼生産の動向や市中発生量の変化に伴い、需給バランスが変動しやすい状況が続いています。こうした環境下では、安定的な調達・販売ルートの構築がこれまで以上に重要となっています。
電炉シフトとカーボンニュートラル対応の流れにより、鉄スクラップの品質要件が厳格化。高品質スクラップの確保と適切な分別管理がますます重要になっています。
リサイクル事業者が押さえるべき3つのポイント
① 品質管理の徹底
電炉メーカーの受入基準が厳格化しています。分別精度を高め、不純物の少ない高品質スクラップを確保することが、安定取引の基盤となります。
② 取引先・販路の多角化
国際市場の変動リスクに備え、国内電炉メーカーだけでなく輸出ルートも含めた複数の販路を確保しておくことが重要です。
③ 業界動向のキャッチアップ
関税政策や環境規制の変化は、リサイクル業界に大きな影響を与えます。最新の政策動向や業界ニュースを常にウォッチし、柔軟に対応できる体制を整えましょう。
廃食油マーケットアップデート
廃食油の活用先として、SAF(持続可能な航空燃料)への転換が加速しています。日本の廃食油は品質の高さが国内外で評価されており、全体の約3分の1が海外のSAF製造事業者へ輸出されています。
JALの「すてる油で空を飛ぼう」プロジェクトをはじめ、自治体と連携した家庭系廃食油の本格回収も各地で始まっており、回収ルートの多様化が進んでいます。飲食店や食品工場から排出される廃食油が、航空業界の脱炭素を支える重要な資源として位置づけられるようになりました。
ミニコラム:知っていますか?「都市鉱山」としての日本
日本国内に蓄積された使用済み電子機器に含まれる金属資源は「都市鉱山」と呼ばれ、金は世界の埋蔵量の約16%、銀は約22%に相当するとも言われています。スクラップ金属のリサイクルは、まさにこの「都市鉱山」を活用する取り組み。資源循環型社会の実現に向けて、私たちの業界が果たす役割はますます大きくなっています。
参考リンク
- 鉄スクラップ、需要減でも値上がり トランプ関税飛び火 — 日本経済新聞
- 2026年の鉄スクラップ需給・価格状況を考える — STEEL STORY JAPAN
- “トランプ関税”で日本の鉄鋼市況はどう変わる? — 大和鋼管工業
- 週間市況予想 — 新英金属
- 持続可能な航空燃料(SAF)の開発促進と活用 — JAL
- 廃食油のSAF(持続可能な航空燃料)への利活用の取組 — 横浜市
- 持続可能な航空燃料「SAF」って何? — JOGMEC
- 2026年版 廃食用油を”より高く”売るコツ — OilBees



